あんしん不動産売却相談室
   
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はじめに、物件査定は「勘」です。勘に勝るものはありません。ベテラン業者による現場での物件査定の勘はまずほぼ100%当たります。なぜなら、長年の相場観とお客さんのニーズのデータベースが頭の中に出来上がっていて、それが混ざり合って勘として出てくるからです。誤差としては成約価格の±10%の範囲内です。

また机上査定も一般的な住宅であれば、成約価格の±20%です。チェック項目は築年数と構造、間取り、延べ床面積、簡単な設備、日当たりの良し悪し、あと土地の面積と入庫台数です。これだけ分かれば見ないで電卓がたたけます。
卓上査定もある程度の経験がないとできません。写真を見なくても査定は出来ます。
簡単にいえば、ガリバーさんの車買取の査定に似ています。車種と型式、走行距離でだいたいの買取価格を出していらしゃいます。あれは過去のデータの流れから一般的な価格帯を導きだしているわけです。不動産も大体その築年数によって間取りの流行や形が決まっているので、築年数を聞けばだいたいの雰囲気が分かります。




当社の場合、査定は基本的に引き算査定です。どういうことかといえば、建物の建築単価を現在の建築単価に引きなおして、そこから建物の減額を築年数によって行っていきます。それに土地の現在の相場を計算しなおし、あとは建物の状態や日当たり、面接道路などのマイナス状態を引いていきます。
最後にそのエリアにおける相場の補正値をかけます。(過去の取引事例と現在のニーズをもとに)

設備に関する査定ですが、基本的には一括で見ます。標準的な設備(システムバスやキッチン、エアコンなど)プラス査定となるのが最近のオール電化製品や、程度の良い車庫・倉庫などです。動産物についてはほとんど査定の対象外となります。
これらの結果、大体の物件査定は業者間でも15%の範囲内で決まってきます。

物件査定については、口頭で伝える場合もあれば、分厚い冊子にして渡す場合もあります。ちなみに当社の場合はA4サイズ1枚ないし2枚です。

不動産業界が活用する査定方式が一応あります。


大体が、取引事例法で、あとは原価法(主に不動産鑑定士が評価する方式)が少しだけあります。ここ3・4年は収益還元法がブームでしたが、リーマンショックで下火です。
ただ、アパート経営などの投資には大変役に立つツールなので、参考にはなります。

当社が上げた査定方式は、取引事例法と原価法を併用したものです。

公的なデータとして、固定資産評価額や路線価、公示価格があります。


ただし、査定段階ではほとんど参考にはしません。路線価や評価額は、借入相談時に参考にはします。(金融機関が主に使用するため。あと公的データはエリアによって価格差が激しいのであまり参考にならない)

だ、権利関係を含めた細かな査定をすると、実際には袋地だったり、実際の所有者と異なったり、時効で他者のものになっていたりと、実際とは異なるケースがあったりします

詳細な調査を含めた査定は、媒介契約を結んだ後か、若しくは別途料金を頂いて調査をするかしないとなかなかわかりません。ここでいう査定はあくまで、権利関係や境界関係を含まない査定となります。

最後に、査定価格は「この価格であれば売れるであろう」という程度のものです。
短期間に売りたい場合は当然、価格は相場より安くしなければなりませんし、相場より高く売る場合は長期間の取引となります。
また業者にしてみてもその査定価格を責任を持って売るわけではありません。あくまで予定です。実際に市場に出してみて反応が悪ければ価格を下げたり条件の変更をせざるを得ません。

査定価格が高いからといって安易にその業者を選んでしまうと、時間と労力を無駄につながります。



業者の選定としては、いくつかありますが、ひとつは査定を通じて業者の知識や信用度、売却の戦略をさりげなく聞き出すことです。そうすることで業者の実力をみることができますし、信用度も計れます。あとは、その担当者との相性です。「この人だったら、任せてもいい」と思える人であることが、絶対条件です。相性が悪いと気軽に相談もできません。

あと、住宅物件の場合は個別対応ができる業者をできれば選んだ方がいいです。
大きな理由としては、何かしら問題が発生した場合、その責任は売主にくる、ということです。

どういうことかというと、売買仲介物件では、建物の問題は売主に直結します。何かあった場合は売主が責任を取らなければなりません。最近では、瑕疵担保責任などによる賠償が多くなっています。それを事前に回避するためにも、個別に対応できる業者を選んでおかないと後々、思わぬしっぺ返しがきます。

業者選びは、安易にはされないように願います。